あなたは未登記物件は、所有者が明確ではないので売ることが出来ないのではないかと悩んでいませんか?
以前、私が担当した売主さんもあなたと同じことで悩んでいました。
ですが、未登記建物でも売却する方法があることを知ってから、無事売却することができてとても喜んでくれたことがあります。
今回の記事では、未登記建物である場合の売却方法についてお伝えしていきます。
この記事を最後まで読んでくれるとあなたも未登記建物の売却方法が明確になり処分することができるようになります。
目次
未登記物件を売買する時の2つの注意点
未登記ということは公に誰が所有者なのか不明瞭です。
そんな状態で買主さんが購入するというのはやはり危険を伴うことになりますから、売主さんに予め建物の表題登記と所有権保存登記をしていただいた上で売買契約を交わすことになります。
タイミングとしては、売買契約締結後に引渡しするまでにおこないます。
表題登記は土地家屋調査士が、所有権保存登記は司法書士が行います。
表示に関する登記
「土地の場合」
- 不動産番号
- 所在
- 地番
- 地目
- 地積
- 所有者
等を表示します。
「建物の場合」
- 不動産番号
- 所在
- 家屋番号
- 種類
- 構造
- 床面積
- 建物の番号
- 所有者
等について公示がされます。
表示の登記は、登記簿謄本の一番上にある「表題部」に示されます。
表示に関する登記は、原則として権利の変動を第三者に主張する効力はありません。
表示の登記とは、土地の分筆、建物の新築、変更、滅失などのときになされる登記のことです。
※登記は原則、申請主義によるもので申請義務はありませんが、例外的に表示に関する登記は申請する義務があります。
登記の申請者は所有者ですが、実際には土地家屋調査士がその代理人として申請手続きを行うことが多いです。
表示の登記には、所有者に登記の申請義務が課されています。
尚、建物を新築又は増築したり、土地が新たに生じたりした場合には、その原因が生じた日から1ヶ月以内に登記の申請をしなければなりません。
権利に関する登記
権利に関する登記とは、権利の変動を公示するもので、登記記録の甲区または乙区になされます。
登記できる権利の内容は、所有権、地上権、永小作権、地役権、先取特権、質権、抵当権、賃借権、採石権の9種類に限られていて、甲区には所有権に関する登記がなされます。
甲区を見ると、この土地または建物の所有権者は誰で、いつどのような原因(手段)で所有権を取得したかという経緯が分かるようになっています。
それに対して乙区には所有権以外の権利(抵当権、賃借権、地上権、地役権、先取特権、質権等)に関する事項の記録がなされます。
乙区を見れば、いつ、誰から、どのような条件で金銭を借り、どのような担保物件が設定されたのかが分かるようになっています。
権利に関する登記は、所有権の移転や地役権・抵当権の設定した時、または変更や抹消などしたときに行います。
権利に関する登記は、登記権利者(買主)と登記義務者(売主)が共同してこれを行うのが原則ですが、実際には司法書士が双方の代理人として申請手続きを行うのがほとんどです。
ただし、権利の登記には申請義務はありません。
※第三者に対して対抗力を取得するかどうかは、もっぱら当事者の意思に任せられているからです。
対抗力とは、自己に権利があることなどを第三者に対して主張できる法律上の効力のことです。
保存登記
権利に関する登記のうち、甲区に関しては「保存登記」と「移転登記」の2種類があります。
「保存登記」とは、今まで存在しなかった不動産に対して初めて行う登記のことを意味します。
新築の建物は初めて行う登記になるため、甲区の登記は「保存登記」に該当し、土地については、分筆した土地が保存登記の対象となります。
分筆とは、土地を分割して分けることを意味します。
土地の単位は1筆という数え方をします。
一つの土地を2つの土地に分けると2筆の土地ということになります。
未登記物件であれば、登記がなされていない状態であるため、甲区の登記を行う場合には、「保存登記」をおこないます。
既に登記をされている不動産については、売買などで甲区の所有権者を新たに書き換えする場合は、「移転登記」をおこないます。
未登記物件の売却では、まず「保存登記」がされていないので、甲区が存在していません。
したがって、売買しても「移転登記」ができない状況になるために、売ることができません。
※未登記物件を売却する場合には、まず、「表示の登記」と「保存登記」を行う必要があります。
そして、甲区に所有者名が記載された後、「移転登記」によって買主へ所有者を移転するのが正しい流れになるのです。
結論:この2点を押さえることで、安全な不動産取引を行うことが可能になります。
未登記不動産のデメリット
1.住宅ローンが使えない
金融機関の住宅ローンを受ける場合、登記されていないと抵当権を設定できないため融資を受けることができません。
したがって、購入希望者の枠が狭くなり、売りにくい家になってしまう可能性があります。
2.法律違反になってしまう
不動産には、不動産登記法という法律があり、不動産の登記について以下のような定めがありますので、この機会に知っておいてください。
第四十七条 新築した建物又は区分建物以外の表題登記がない建物の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から一月以内に、表題登記を申請しなければならない。(引用:不動産登記法)
もし、不動産登記を行わないと10万円以下の罰金が取られることもありますので、ご注意ください。
昔は現金で新築することもあったために未登記が多かった
最近では新築する場合に住宅ローンを利用するのが一般的になり、金融機関が抵当権の設定を行いますから土地建物は登記をします。
しかし、昔は住宅ローンを使わずに現金で新築することが多かったので、その場合は特に登記の義務はなかったため、未登記の建物が日本中いたるところで存在する原因となったのです。
最も多いのが増築後の未登記
私も現役時代に何度か売買した経験があります。
例えば、実際のお家と法務局で取り寄せた建物図面が異なる場合があります。
売主さんに尋ねると、数年前に増築して図面と登記簿は変更していないと言われたりします。
特に多いのが、増築された離れであったり、浴室を大きくしたり、部屋の建て増しやシャッター付きの車庫なんかもたまにありました。
※売買の際は最終的に売主費用負担で建物表題変更登記はやっていただくことにはなります。
未登記建物を売買後に買主が解体する場合
未登記建物を売買後に買主が解体する場合は、費用が無駄になるので表題登記や所有権保存登記などはせずに売買するケースが多いです。
しかし、取引の安全を考慮するならば、この場合においても売主さんは未登記建物の所有権保存登記は済ませておいた方が買主としては安心して取引に応じることができると言えます。
信用はしたとしても、やはり買主としてはその建物の所有者が不明瞭のままでは不安は残ることになるからです。
後からあの建物は私のものだと、契約した売主以外の人物が名乗りをあげてくると話が厄介な方向に行ってしまうからです。
そうならないためにも、土地・建物の所有者がハッキリしている方が安心できますからね!
私の経験ですと、確かに未登記のままの状態でも売買契約はできます。
しかし、引渡し迄に登記は必要になることを売主として理解しておいて欲しいと思います。
費用に関しては、決済時に精算したい旨を土地家屋調査士と司法書士に申し出て対応してもらうようにすれば、当日に売買代金の中から報酬を支払うように出来ると思います。
あとは信頼できる不動産会社を探して、今後の売却のプランについて相談し、進めていくことで具体的な方向性が見えてきます。
まとめ
現在、建物が未登記であっても、売買は可能ですが、引渡しをするまでに売主さんが登記をしてから買主さんに移転登記できるようにしておく必要があります。
増築部分の未登記に関しても、引き渡すまでに売主費用負担で表題変更登記はやらなければなりません。
未登記である建物を売買後に買主が解体する場合でも、本来なら事前に売主さんは登記を済ませてから売買契約を締結する方が望ましいです。(トラブル防止のためです。)
費用に関しては、決済時に精算するようにすれば前もってお金を用意しなくて済みます。
どうか、参考にしていただき、あなたの悩みが解消できれば幸いです。